2014 JAN ASC 白馬

2月7~11日【日本雪崩ネットワーク アドバンスセーフティーキャンプ】 @白馬
13/14シーズン 滑走12~15日目
Armada JJ, Dynafit TLT Radical Speed, Dynafit TLT5(12/13) 

JANのアマチュア向け雪崩講習会ASCを受講してきました。
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私にとって、2008年に冒険小屋の故タカさん・カリスマ女性ガイドのサチさんにお願いしてやってもらったツアー安全講習(1日)、2009年のJAN SC(1泊2日)に続き、3回目の正式な雪崩講習です。講師はCAAとJANのプロフェッショナルメンバーである廣田勇介ガイド、受講生は遠路はるばる鳥取から駆け付けてきたスキーヤーや日本最強の山岳警備隊の隊員さんなど意識の高い方達7名が集まりました。

初日は座学と戸外でのビーコン探索。 Photo KMさん
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マサイの戦士、白馬に集う。
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ビーコンが電波を拾う前の小技をは初耳でした。

2日目からはツアーです。
毎朝5時過ぎには起きていろいろなサイトから気象情報や前日からの降雪・雪崩情報を各自で収集しておきます。これが非常に重要なのですが30分の早起きが結構ツライ。8時頃スキー場に集合し、小1時間のミーティングでその日に起こりうる雪崩の形態と危険地形を全員で共有してからツアースタート。積雪観察と安全行動を学びながら15時頃ツアー終了。その後教室に戻ってその日の積雪状況のまとめと座学を2時間ほど実施。

そしてみねかたスキー場の近くの民宿に宿を取った私は日本人女性プロボーダー第1号だったという美人おかみにお相手してもらいながらの晩酌、そんな楽しい毎日でした。

お勧め、一ノ倉荘。14ASC_19.jpg 

2日目 白馬乗鞍スキー場から若栗周辺ツアー 積雪構造観察、夕方座学
3日目 栂池スキー場からヒヨドリ峰往復ツアー 積雪構造観察、効率的ハイクアップ法、夕方座学
4日目 栂池スキー場からヒヨドリ・若栗越えで白馬乗鞍スキー場までツアー、積雪構造観察、ECTによる弱層破壊伝播性評価、効率的ハイクアップ法、夕方座学
5日目 地蔵の頭付近でこしもざらめ観察、ECT実践、シナリオレスキュー、ミニツアー、15時解散

ツアー初日は白馬エリアの積雪構造を知るためにフルサイズのピットを掘りました。エリアの積雪に関する情報量やその連続性に欠ける我々ウィークエンドスキーヤーにはフルサイズが必要です。14ASC_11.jpg
ピン角に注目。合言葉は「スイス人より美しく!」です。

その後のハイクアップ中の事。
廣田さんがあえて尾根を外して風下開放斜面でスキーカットを行ったところ、全くスラブ化していないサラサラドパウ(我々は格調高く「結束性のない低密度の新雪」といいます。)が、そのスキーカットをリモートトリガーとしてサイズ1.5の発生雪崩を起こしました。これには廣田さんもびっくり。

スキーカットした斜面上方5,6mの所に入った破断面を観察する。 14ASC_13.jpg 
破断した場所の雪も全く結束性を感じさせない硬度Fの新雪でした。 なぜそれが面発生を起こしたのか?「超々サラサラ雪の上にサラサラ雪が載れば後者はスラブとしての挙動を示しうる」ということと解釈しましたが、直観的な理解には至っていません。 ちなみに伝搬した弱層は顕著な硬度差が見られず、ストームスラブだったと思われます。

この結果を受けて、滑る斜面は風の影響が少ない樹林帯を選びました。
今度は見るべき点が分かっているのでフルサイズのピットを掘る必要はなく、ターゲットサンプリングで十分です。 この場合のターゲットは先ほど雪崩れたウルトラソフトウィンドスラブ?の有無。
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「ノール地形での点発生雪崩には注意が必要」(⇒このシチュエーションではまず安心)という結果が出たので歓声を上げながら2ピッチほどの腰パウを楽しんだのですが…   Photo KMさん
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傾斜の緩む沢のボトムまで来ると様相一変。あちこちでシューティングクラックが入りました。沢の合流部であるということと、樹林が幾分疎であることから風の影響を受けていたようです。慎重にルートを選んで滑った廣田さんのトレースを一人ずつ辿って危険地帯を脱出しました。 Photo KMさん
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4日間を通して一番不安定だったツアー初日。
積雪の空間的多様性を実感できた貴重な一日になりました。

2日目以降も穴掘り捲り。
ただし注意すべき層は既に把握できているのでターゲットサンプリングです。2月4日の雨で形成した融解凍結層(格好付けて0204MFcrと表記します)の少し下まで掘れば十分です。Photo KMさん
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雪崩とは関係ありませんが、ハイクアップ時の効率的なルート取りも教えていただきました。キックターンもヒールリフターも基本的には使わずに済み、ピストンの場合は帰路の美味しい斜面を探す事ができるという優れ物。 他の人より少し余計にトップをやらせてもらいましたが、こんな素晴らしいシチュエーションでのラッセルはワクワクします。 Photo KMさん
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これは破断の伝搬性を調べるためのECT(Extended Compression Test)の講義。
30×90cmに切り出した雪柱の端でCTを行い、破断が他端まで伝搬するかを確認します。Photo KMさん
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積雪構造確認は日の当らない側の側面で実施。
気温、雪温も太陽や遮蔽物からの輻射を受けないように気を遣って測定します。
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重いレスキュー用具を背負って剱沢野営場から熊の岩まで1時間半で行っちゃう猛者。
これからは何かあった時は指名料払うからよろしくね。
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安全なノール地形を使ったスキーカット。
最初に表層2,30cmの新雪ウィンドスラブが落ち、それに引きづられて下層の旧雪が0204MFcrを滑り面として落ちました。  Photo KMさん
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こしもざらめ観察。今後の持続性に要注意。
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廣田先生(左端)と7人の侍。 Photo  通り掛かりの外人さん
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8,9日に南岸低気圧が通過し積雪構造が日々変化するという絶好の期間に恵まれ、積雪安定性の変化を観察できただけでなく、スラブ化していないと判断した新雪の面発生雪崩にも遭遇し、その解釈を含めてとても勉強になりました。ツアーが4日間あったのでいろいろな方位の樹林帯、森林限界、アルパインエリアでの積雪構造の違いを見る事ができ、その理由を学べたことも収穫でした。

みなさん、5日間どうもありがとうございました。Photo KMさん
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自分用Memo)
・入山前からの継続的気象・積雪情報の収集(積雪への影響⇒気温、日射、降雪、風)。
・その日警戒しなければならない雪崩のタイプを想定→行動地形の選択。
・直接証拠。
・積雪構造の把握が主でCTは従、かつfractureを重視。必要に応じてECT。いずれも正確なサイズで、観察面はスイス人より美しく。
・凍結結晶が存在したら。
・風、日射、気温、降雪、斜面(斜度、向き、サポート、罠)の変化に常に敏感に。
・エアバッグの股ハーネス。

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