予備日5日 実働10h未満

3月27日 黒部スキー横断敗退

11/12シーズン滑走24日目 W/まっちゃん、まさみちゃん
Manaslu(161cm), TLT SPEED RADICAL, TLT5, Manaslu Skin
まっちゃん:Mustagh Ata(165cm), Onyx, Radium, Mustagh Ata Skin

計画
27日:日向山ゲート(徒歩)~扇沢~針の木雪渓~マヤクボ沢~スバリ岳~大スバリ沢滑走~黒部湖畔(泊)
28日:黒部湖氷上横断~御山谷~一の越~雄山~山崎カール滑走~雷鳥平(泊)
29日:室堂乗越~立山川滑走~馬場島(徒歩)~伊折

富山県警とのお約束で予備日5日。予備食積み過ぎてザックが16.5kgにもなってしまいました。これじゃGWの長期山行と一緒です。たった二晩の事なのでお酒をあきらめることにしました。

ヤマタン。装着義務はなくなったそうですが、ヘリからでも捜索可能らしいので。
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3:58 タクシーにて日向山ゲート着 
直前の数日間降り続けた季節外れの大雪、針の木雪渓の雪崩が頭から離れず引きつり顔のワタシです。
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5:27 扇沢着。
まっちゃんの配慮で共同装備を一番軽くしてもらったし、板もブーツも超軽量。それでも全部担ぐと重くて足の速い二人に付いて行くのが結構きつく感じた1時間半でした。
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6:00 ハイクアップ開始。
昨日まで降り続いたと思われる新雪で、早くも脹脛ラッセル。 想定内なんですが…。
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7:15 大沢小屋上の堰堤で最初のピットチェック。
神に祈るような気持ちで出た結果はなんとNo Fail!安定性区分Very Goodです。意外な結果に安堵と期待…。
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いよいよ雪崩地帯に突入です。春には登路がなくなるほどの全面デブリランドになる事もあるそうですが、今年は未だ大きなデブリは見当たりません。でもそれって喜ばしいことではなくて、まだ落ちていないということ…。前方からはもちろん、側壁からの不意打ちに備えて常時30m以上間隔を空けて登ることにしました。
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重荷で苦しいのですが、立ち止まれる場所がありません。ここを通り過ぎたら立ち止まろう、あそこを過ぎたら立ち止まろうと思うのですが、そこまで行ってみるとそこも側壁からの雪崩の走路。結局トップを代われず、まっちゃんが終始ラッセルをしてくれました。 (写真はデブリの通過なので沈んでません。)

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10:01 マヤクボ沢出合。(下の写真に見えているコルは針の木峠)
ここまでラッセルが続いたため昨年のまっちゃんの単独ザラ峠越えの時より1時間半も余計にかかっているそうです。
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書くなというから具体的には書きませんが、まっちゃんは相当な手練です。その彼にして
「ワッフ音とかしなかった?」
「したような気もするけど、緊張してて覚えてない…」
具体的に何の兆候があった訳ではないのですが、この2週間の降雪と天候推移、地形、今日の日照、それにこの斜面での過去の雪崩を考えれば、それほど緊張を強いられるのが当然のハイクアップでした。

さて、マヤクボ沢に入るかどうかのピットチェック。
出合付近は風の影響で吹き溜まった新雪はほとんどなく、もしかしたらと淡い期待を抱きつつ。

身の安全を確保してテストができる場所が限定されたことと、パウダーの下80cmほどに形成されていた融解凍結層が固くて掘り下げる事ができず、それを底面としたテストになってしまいました。まぁこの斜面を滑るわけでなくシール歩行だけなのでこれで良しと誤魔化す事にしました。





… 


狭い範囲内ながら少しずつ場所を変えた何回かのテストの結果、表面から20cmほど下でEasy(SC~RP)が3回、雪柱を切り出している時にスルっと逝ってしまったVery Easy(SP)が1回。40cm下でEasy~Fair(RP)。 ひょぇ~~。

その上、テスト終了後融解凍結層と雪柱の接合面がグラグラし、スコップで側面を押したら簡単に倒れてしまいました。

この2週間の天候・降雪の推移から恐れていた通りの結果とはいえ、とてもあきらめきれません。針の木峠への登路の可能性を調べる事にしました。

比較的安全そうな場所でチェックするまっちゃん。
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残念ながら結果は似たり寄ったり。

そうこうしている内に稜線の風も強くなる一方。神が来るな来るなと警告しているようです。
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積雪安定性区分で言えば文句なしの"POOR”ですが、強行する言い訳はいくつもありました。
・破断形態はRP(破断するが前には出てこない)がほとんどだったこと。 
・破断した層が全くスラブ化していなかったこと。(硬度:F)
・融解凍結層は約80cm下なのでシール登りの静荷重だったら伝わらないかもしれないこと。

散々迷ったのですが、ここから上は傾斜が強まる事、間違えなくウィンドスラブが形成されている事、滑走する大スバリ沢にも融解凍結層が予測される事、など得られたデータとは関係なく悲観的に考えて涙の敗退を決定。

この縦走のためにトレーニングを積み、この3週間いつでも出発できるように業務調整を続け、日々天気図をにらみ、ようやく掴んだチャンスだったんですが…。
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安定性区分Poorでこの急斜面を滑って戻るのはかなりコワイんですが、滑らない事には帰れません。まっちゃんと私がまさみちゃんを挟んでつるべで滑る事にしました。当たり前ですが待機中は滑走者から絶対に目を離さない事を3人で再確認。
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斜面に圧をかけないよう、かつTOPのシュプールを外さないように滑りました。もちろん写真を取る余裕などありませんでしたが、幸いスラフすら出ませんでした。これがテスト時の破断形態(RP:破断するが前には出てこない)と符合するのかもしれません。

大分斜度が緩み雪の様子もつかめてきた3ピッチ目。パウダーを楽しむ余裕が少し出てきました。
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ここまで来ればもうSkier's Triggerの雪崩はないでしょう。日の当る左壁からの自然発生雪崩だけ気を付けながら滑りを楽しみます。まさみちゃんはまだまっちゃんのシュプールに重ねて滑ったようです。エライ!
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まだまだ楽しめます。
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12:06 滑っている間は無心で楽しかったけど…。

終わってみればアンニュイ漂う扇沢…
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ヤマタン泣いてる路肩滑走。歩きとどっちが速いかってくらい艱難辛苦を重ねたんで、全線滑走成功って偽ったら山渓か岳人クロニクルに載らないかなぁ。
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 13:40頃 日向山ゲート着 お疲れさまでした。
 

氷結した黒部湖の横断のためには2.5日間の安定した天候に加えて、針の木越え(稜線への登路、黒部湖への滑走ルート)の積雪安定性と湖の氷結安定性という相反する条件が成り立っている事が必須です。その難しさを感じながら待ち続けたこの1ヶ月間でした。ようやくやってきた移動性高気圧に大事な会議を振り切って決行したのですが、直前数日間に渡って降り続た季節外れの大雪の馬鹿野郎にやられた格好です。

また、CTでPoorの結果を得た斜面を滑ってもスラフひとつ落ちなかった事実。CTの結果だけでなく破断形態を併せて安定性をどう判断すべきか、全く経験が足りません。努力の積み重ねがなかった事を痛感しました。これじゃぁ滑れる斜面も滑れません。

今季の黒部横断企画はもうお終い。
来季は体力と精神力の減退でたぶん行かれないでしょう。あーあ…。

memo
信濃大町駅~日向山ゲート タクシー 4880円(深夜料金)
日向山ゲート~扇沢 一部凍結ながらほぼ完全除雪。スニーカーでもサンダルでもOK。
日向山ゲート~信濃大町駅 タクシー 3450円(近道)

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コメント

非公開コメント

おつ~

あら。
どうしちゃったんでしょ、弱ってますね。
やっぱりお酒を持参しなかったからでしょうか(笑)

大丈夫、『記憶力と体力・気力は反比例』という“常吉の法則”があるじゃないですか。
きっと、今年の敗退を忘れて、来年張り切ってますよ(≧∇≦)

お疲れ様でした。
よくそのような判断ができましたねー!
安全第一、見習わなきゃ。。

そうだね

姫、

サンキュ~!

自分の体力にも雪崩を読む力にも???がいっぱい。
落ち込んで帰って来ました。

急斜面に入ってからはセカンド歩いてたんだけどトップでラッセルしてるまっちゃんと同じペース。自転車トレもいいんだけど、ボッカやんなきゃなぁ。

歳のせいなんかにしてないでやるっきゃないか。

ぢゅん、

臆病だからね、オレ。
ぢゅんも今やエキストリーマー。雪崩の最前線なんだから慎重の上にも慎重を重ねて冒険してね。

これからの活躍期待してます。でも裏付けのない突っ込みは絶対ダメだからね。

羨望

ご無沙汰です。
いつかは滑って見たい斜面なのですが、一番最後の写真を見るまで緊張の連続でしたよ。
この沢がこんなにメンツルで何事も無く滑れるなんて最高ですね。

いやいやsakusaku_fukafukaさんこそ羨ましい

sakusaku_fukafukaさん、

そう言われてみれば確かにいい雪のいい斜面でした。でも氷結した黒部湖の横断が夢だったので、そんないい条件の滑走にも雄叫びが上がる事はありませんでした。滑りに集中していたつもりですが心のどこかに引っかかっていたんでしょうね。

このところ無縁ではない方の事故が続いてしまいました。自分も心を引き締めてシーズン後半を楽しもうと思っています。